「乙女像(花束)」(1982年)
学校ではよく、卒業記念に生徒たちが何かを残していく。
ある時、女子高の中庭に置きたいのだがと、そうゆう仕事をいただいた。
等身より大きい粘土像で予算の関係上、石とセメントの仕上げとなった。
かなり重い。設置する時は美術専門のクレーン車で運んだ。
後ろ手に花束を手にした少女が中庭に立った時の光景が今も浮かぶ。
鋳造は池袋の松平石膏さんにお願いした。
確か淀井教授の紹介だったと思う。
以来、松平石膏さんには何かとお世話になっている。
当時からの職人さんで今でも1人残って仕事をしている菊地さんと言う方は
とても言葉の少ない人だが、もくもくと良い仕事をする。たまに個展を見に来て下さる。
何十年と同じ仕事を続けている人の静かな自信と謙虚さが小柄な体から感じられる、
いつ見ても歳をとらないような人だ。
その他にに、私がこの乙女像の仕上げの磨きに通っていた頃は、2人働いてる人がいた。
磨きを手伝ってくれた。
磨きこんで行くとうす灰緑色とでも言おうかセメントに混ざった石の色が鮮やかになった。
後年、乙女像は中庭から他の所に移されたと聞く。
まだ、その写真はないがあの乙女像が年月を経てどんな色になって
新しい環境にたっているか会いに行きたいと思っている。
▲前ページに戻る ▲「彫刻」トビラに戻る